「フンドシまわさないで素振りしたら、下の虎徹が擦れて大変な事にぃぃぃ・・・!」
「みんな無視しろ!稽古に集中するんだ!」
沖田の激が飛ぶ。隊士たちは気まずい雰囲気の中、竹刀を振り続けた。
「ええい、忌々しい袴め!こんなもの、脱ぎ捨ててくれるわ!」
「無視しろ!目の前の相手にだけに集中!」
新撰組副局長・土方が出先から戻り道場に顔を出したとき、下半身に何も着用せずに竹刀を振るう自由奔放な局長と、こわばった表情で剣術訓練に勤しむ沖田一番隊組長以下隊士たちがそこにいた。
(やれやれ、またティンカーベル丸出しか・・・うちのピーターパンにも困ったもんだ)
ため息をつき、自らも竹刀を手に取る。そして、恍惚とした表情で竹刀を振り回している近藤の背後に回り、低く竹刀を構え、突き出した。
「そこはっ!ネバーラーンドッ!」
ひときわ激しい嬌声を放ち近藤は崩れ落ちた。
土方以外、誰もそちらを見ようとするものはいなかった。