政権側にいるもの、それに敵対するもの、そして、そのどれにも属さない人々にとっても、近頃の空気は張り詰めたものに感じられた。
政権側に属しその戦いの最前線とも言うべき新撰組の本拠地・オトコパレスでは、どこよりも緊迫した空気に包まれて至極当然であったが、この組織の中心である近藤だけは違った。まるでそこが台風の目であるかのように、穏やかな時間軸の中に彼はいたのだ。
「俺、考えたんだけどさ、長州ってツンデレだと思うんだよ。で薩摩はガチムチ。土佐はどーかなー?天然系かな?」
目の前の半紙に各国恋愛相対図を書き込みながら、近藤は得意そうに沖田と斉藤に説明した。
「近藤さん、ツンデレ長州がおフランス製の7発連続発射できる鉄砲を購入しちゃったらどうですか?」
もはやその小悪魔の本性を隠そうともしない斉藤が、妖しげな笑みを浮かべながら近藤を上目使いに見る。
「ゴクリ・・・7発もかい?そんなに飛ばせるのかい?」
「もち、おフランス製ですからね。バンバンバン、バンバンバンバンッ!ですよぉ」
「きゃあぁぁぁっ!」
斉藤の言葉攻めに沖田が身をよじらせた。