停留所で降りて

三十分くらい歩くと おばあちゃんの家がある

いつもは 母のうしろに隠れているのに

走って 玄関に駆け込んだ

「 おばあちゃあ~ん 」

「 おぅ おぅ よぅきたなぁ 」

しわくちゃな 顔いっぱいで 笑って

頭を撫でてくれた


おばあちゃんの家は 大きくて 広くて

風が流れていて 気持ちいい

絶えず 溢れ出ている井戸水を 受ける水桶には

スイカや トマトが 浮かんでいた


従兄弟のお兄ちゃんたちも やってきて

賑やかに なってきた

フトンをとった 掘りコタツの横にテーブルを並べ

みんなで 晩ご飯

おばあちゃんが 井戸水で冷やしてあった 

スイカを切って 持ってきて

「 ほれ スイカ切ったにぃ  食えやぁ 」

ヒンヤリと冷たく 甘くて おいしかった


ご飯のあとは 蚊帳を吊った 部屋で しばらく あばれていた

枕を投げたり  逆立ちしたり・・

「 早く 寝なさい! 」

遊びあきて フトンにはいる


静寂のなか

井戸水の流れ落ちる 音だけが 聞こえていた