乱れた息だけが耳に響く。

「ごめんな。」

「...急に走り出して、どうかした?」

俺たちが立ち止まった場所はパレードがまだ来ないのかあまり人はいない。

「.......。」

「とにかく戻ろう?三崎たちもきっと心配してるし。」

何も言わない俺を、今度は結愛が引っ張ろうとする。

今日だけ...今日だけは...。

少しでも長く、結愛と二人きりで過ごしていたい。

俺の思っていることなんて何も知らない結愛は不思議そうに俺を見ている。

これで最後にするから...。

今日だけは、俺の我儘を許してくれ。

俺は腕を引こうとする結愛の手を強く握った。

「.....大河?」

「ここで一緒に見よう。...二人で。」