確かに斗亜くんは天才だと思う。

でも、それだけじゃないんだって、知ってる。

テニスが好きで、楽しくて仕方が無いって、伝わってくるの。

そんな斗亜くんが、かっこいい。

ただ純粋に、そう思っただけなの。

「こんなに夢中になれるのって、好きだからじゃないの?」

「.....。」

「斗亜くんが思っている以上に、きっとみんな斗亜くんのこと、分かってるよ?」

「......っ」

「だから、斗亜くんには、怪我して欲しくなかった。

 でも、結局無茶して心配かけて...ごめんね。」

私は小さく頭を下げて謝った。

「.....ばか。」

斗亜くんの小さな声が、部屋に大きく響いた。