「斗亜くん....なんで...」

俺の存在に気付いた先輩が、驚いて顔を上げた。

その瞳に、たくさんの涙をためて...。

あぁ、俺、またあんたを泣かせてたんだね。

俺のために、あんたは今までどれだけ涙を流したの?

ふと、あの時のことを思い出した。

小さい女の子、たった一人で泣いていた。

....あの時と同じだ。

俺は先輩の前に同じ目線になるようにしゃがんだ。

「....何、泣いてんの?」

「!....えっ?」

あのときみたいに、もしも君が笑ってくれるなら。

「あんたがさみしくて泣くんなら...」

「....!」

「俺も、一緒に行くから。」