突然俺に会いに来た先輩。

渡された手紙。

部室を出て行くときに残したあの言葉。

あの時の...必死に涙をこらえる先輩の顔。

すべては一直線につながっていたんだ。

あんなに気付くチャンスはあったはずなのに...。

「俺も、詳しいことはわからない。ただ...」

そこまで言って、初めて先輩は悲しそうに顔をゆがめた。

「あいつはきっと、一人で全部抱えて行くつもりなんだ。」

「.....っ、なんで...」

何も、言えなかった。

「.....行ってこいよ、斗亜。」

「え.....」

「あいつには、お前が必要だろ?」

「.....っはい。」

先輩は俺をまっすぐに見つめ、最後にいつもの笑顔を見せた。

俺は先輩を残し、大切な人のいる場所へ、走り出した。