また、先輩が俺の前から居なくなってしまいそうで、

今度こそもう二度と、会えない気がして、

なぜかもの凄く不安になって、焦って、

あの「ありがとう」が、「さよなら」に聞こえて、

俺は無意識のうちに部室を飛び出していた。

「霧野?どうかしたのか?」

ちょうど来たばかりらしい雪村副部長が不思議そうに俺を見る。

でも、俺にはゆっくり話している余裕なんてない。

俺は小さくお辞儀をして、また走り出した。

「霧野!」

後ろで先輩が呼んでいたけど、それさえも耳に入らない。

ただひたすら走った。

でももうどこにも先輩の姿は無くて、校門のところまで来たおれは立ち止まった。

「...っはぁ、くそっ!」