『好きだから。』

その言葉が頭から離れない。

大河先輩は、先輩の事が好きだった。

...じゃあ、先輩は?

「お前も、結愛のことが好きなんだろ?」

「!?...俺は...」

俺は...分からなかった。

俺は、先輩の事が好きなのか?

何も言えずに黙り込んでしまう俺。

それを見ていた先輩が小さくため息を吐いた。

「何も言わないのか?それとも、言えないのか?」

「......。」

「はぁ...もういいよ。

 俺は結愛が心配だから、保健室に戻るから。」

さっきまではあれほど二人きりにさせるのがイヤだったはずなのに...。

今は何も言葉が出てこない。

歩き出そうとした先輩が、一度だけ振り返り俺に言い放った。