走ったからかお互いに息が乱れる。

やっと落ち着きを取り戻した頃、大河先輩が口を開いた。

「...お前、」

「それじゃあ、俺はこれで。」

それ以上何も聞きたくなくて、俺は先輩の言葉をさえぎった。

そしてそのまま去っていこうとする俺に、先輩は言葉を投げ捨てた。

「...なんだ、霧野。お前逃げんのか?」

その言葉に再び振り返ると、不敵な顔で微笑む先輩が居た。

「何言ってるんですか、先輩。」

ムッとして言葉を返す。

「何って、そのまんまの意味だよ。

 敵前逃亡か?って言ってんの。」

「どういう意味。」

何であんたにそこまで言われなくちゃいけないわけ?