頭が真っ白になって、うまく働かない。

ズルズルと後ずさっているうちに、俺はつい棚にぶつかってしまった。

ハッと我にかえる。

俺は逃げるように保健室を後にした。

走っているのに、足は錘がついたように重くて思うように動かない。

なんで...なんで...なんで!

なんで、キスなんかしてんだよ...。

先輩は、大河先輩の事が好きなのか?

どれだけ考えても分からなくて...。

悔しくてたまらない。

グルグルと考えていた俺は、大河先輩に腕をつかまれて足を止めた。

もう、どうでもいい...。

俺は静かに振り向いた。