何でだよ...何であいつの名前...。

「...他の男の名前なんか、呼ぶなよ。」

俺は静かに結愛の顔の脇に肘をつけて覆いかぶさるようにした。

お前はあいつの事が...。

俺はそっと結愛の唇にキスをした。

しっとりと、決して深くは無いキス。

このまま時が止まってしまえばいいのに...。

でも、そんな俺の考えは次の瞬間あっという間に消えた。

ガタンッ

何かにぶつかるような音と、保健室を出て行く足音が聞こえた。

その瞬間、俺はハッとして結愛から体を離しドアのほうに視線を向ける。

誰か...居たのか...?