「失礼します。...って、誰も居ないし。」

やっとたどり着いた保健室には誰も居なかった。

俺は仕方なく、開いているベッドにそっと結愛を寝かせた。

俺もベッドの端に静かに座る。

大分落ち着いたのか、穏やかな顔で眠っている。

俺は優しく結愛を髪を撫でてやった。

「.....んっ」

「結愛?」

結愛は小さく寝返りを打つと、俺のシャツの裾をギュッと握った。

驚いて結愛の顔を覗き込んだ俺は見てしまったんだ。

結愛の目から...一筋の涙が頬を伝ったのを。

「...斗、亜くん...っ」

「....っ!」

結愛はあいつの名前を呼びながら、泣いていた。