まさかと思って聞いてみたその時、コート内で私を呼ぶ声がした。

一瞬そっちに視線を向けた彼はまた私に視線を戻すと、

「さぁ、じゃあね?」

それだけいってそのまま男の子はどこかに行ってしまった。

「どうした、夏輝。」

神崎 聖夜

桜学園 3年

テニス部部長

「あ、いえ.....」

このときの私はまだ気づいていなかった。

彼との運命の出会いが、この時すでに果たされていたなんて...。