偽恋愛上等ッ!!【短編】


「どういうこと!?」

って聞いたら

「もう済んだもん、お前。
帰っていいよ。てか、早く帰って」

って『コウ』は言った。
平然とした顔だったらしい。

ショック通り越して
頭真っ白になった里奈は言われるがまま家に帰った。


で冷静になって

『ヤリ捨て』

されたって事に気づいた。


メール何通送っても無視。
電話も無視。

3回目でやっと出たけど


「めんどくせぇからかけてくんな!
済んだ奴には興味ねぇーの!」


って言われて、ブチッて電話切られた。



‥‥‥‥っていうのが
今里奈が泣きまくりながらあたしに話したこと。


言うまでもなく
あたしはブチ切れた!!!



「何ソイツ!最低じゃん!」

「玲、あたし騙されてたんだよね‥‥」


まだ泣きまくってる里奈を見ると
怒りがマジでこみあげてくる。


「もう戻りたいとか思ってないよね!?」

「思うわけないじゃん!過去消したいくらいだよぉ‥‥」

そう言って里奈は
涙をぼろぼろこぼしながら私の机に顔を伏せた。



里奈、あたしと一緒で、
彼氏いたことはあったけど
そーいう『経験』はなかった。

だからつまり『コウ』が初めてだったんだ。


なのにこんなの!
絶対許せない!!!

ひどすぎるよ!!



―‥‥あたし決めた!

「里奈!あたしが仕返しする!」


「‥‥えっ?」

里奈が涙でぐちゃぐちゃになった顔をあげて私を見た。


「あたしがそいつに近づいて仕返しする!」

「そんな‥どうやって」


え、どうやって?
‥‥そんなの分かんないけど!


けどこのままじゃやだ!
絶対許せないもん!




どうやって???
‥‥そうだ、とあたしは思いついた。


「あたしがソイツを落として
プライドぐっちゃぐちゃになるような捨て方してやる!」


里奈はきょとんとした顔をした。


そりゃそうだ。
今のあたし、何かものすごく無茶なこと言ってる。


でも、止まんない。
やってみなきゃ分かんないじゃん!



その日の帰り、
あたしは嫌がる里奈を引きずって隣の高校までやって来た。


里奈からしたら
「見たくない」
って。

そりゃあそうだよね‥‥
そんな最低なヤツ忘れたいだろうし。


あぁー
あたしめっちゃおせっかいな事してるよね?


でも、ここまで来たら
絶対仕返ししてやりたい!

里奈のためってのもあるけど、
あたしの気が収まらないんだよ!





「里奈、どれ!?」


「‥‥今日コンタクトしてない」


私と里奈はグラウンドに来ている。
サッカー部をのぞき見‥‥。


「コンタクト入れても
泣いて取れちゃうと思って」

「なるほど‥‥。
え、じゃあ『コウ』ってヤツどこにいるか分かんないじゃん!」



シュート練習、リフティングなどなど個人で練習をしている様子。
部員はまぁ30人ちょっとくらい、かなぁ?


「‥‥11」


里奈が言った。

そうだ、背番号『11』なんだ!
ナイス!
あたしは背番号『11』を探した。
今日は試合とかじゃないから
ユニフォーム着てないかもしれないけど‥‥


「あ!」


「里奈、居た!背番号11!」


『11』は数人でグラウンドを走っている。
他も見たけど『11』は他に居ない。

こいつだ!!
里奈を騙してキズつけた最ッ低なオトコ

『コウ』!


よく見ると
確かにかっこいい‥‥
っていうか綺麗な顔。

整ってるって感じ。
目がハッキリしててちょっとだけ切れ長で。
鼻もすっとしてて。
日焼けしてて
短めの黒髪がまさにスポーツマンって雰囲気。


なるほど。

イケメンかも。







でも見とれてる場合じゃない!

だってアイツは超がつくほど最低なチャラ男なんだもん。
あたしはアイツに仕返ししてやるんだから!


里奈とグラウンドのすみっこにしゃがんでたあたしは
勢いよく立ち上がって言った。


「よし、顔覚えた!
あたしアイツに接近してみる!」

「玲、マジでやるつもり!?
あんなヤツ騙すなんて無理だって!」


里奈は心配そうにあたしを見上げた。


もうここまで来たらやってやるよ!
話は簡単。

あたしが『コウ』ってヤツに接近して
惚れさせて、プライドずたずたにしてやればいい!


‥‥って全然簡単じゃないか。
あたしかなり無茶言ってるよね。

けど、何とかしたいんだ。
里奈をこんなに傷つけたヤツ許しておけないもん。
それにあたしスイッチ入っちゃうと止まらない性格で(笑)。
周り見えなくなっちゃうタイプ。


で、今
スイッチ入っちゃったんだよね!


こうなったらやるしかないっしょ!
女のプライドにかけて、負けられない。

ニセの恋愛でアイツをたたきのめすんだ。



偽恋愛、上等ッ!!!
―‥‥‥
あたしは早速行動を開始した!


何をするにしても、
まずは知り合わなきゃ始まらない。

あたしは校門の前に立って『コウ』が出てくるのを待ちぶせすることにした。
アドレス書いた紙を持って。

「会いたくないから」って言って里奈は先に帰った。


練習がいつ終わるかグラウンドを何回も見るけど
なかなか終わらない。

待ちくたびれて、グラウンドを見る回数も増える。

「もー帰ろっかなぁ‥‥」

そう思った時、

『ありがとうございましたー!!』

という大人数の声がしてあたしはグラウンドを見た。
うわ、やばっ
練習終わった!


‥‥って何かあたし、めちゃめちゃ緊張してません?
やばい。
やばいぞ。

今気づいたけど‥‥あたしこーいうのマジで初めてだよ!
里奈のマネしてアド書いた紙渡そうとしちゃってるけど‥‥

こんな経験ないし!
どうしたらいいか分かんない!


やばい
やばい
‥‥やばい!
片付けは終わったみたい。
部室が校門のすぐそばにあってさっき入ってくのが見えた。
今着替えに行ってるっぽいから、
まだ少しは時間あるよね。

その間に気持ち落ち着けなきゃ!


あたしはすーっと大きく、深呼吸をした。

吸った空気を全部吐き終わるか終わらないかくらいの瞬間、
ガラガラッというドアが開く音と
数人の笑い声と話し声がした。

あたしが驚いて声の方を見ると

『コウ』もいた。


隣の高校の制服の薄いブルーのシャツが
正直、めちゃめちゃ似合ってる。


げっ!
もう出てきたわけ!?
着替えるの早すぎでしょ!!!


あたしはあわてて髪を整えた。

来た、来た!
今だ!

声かけなきゃ!