人の会話を盗み聞きするなんて
するべきじゃないのは分かっていたけれど、
あたしはその場から離れられなかった。
「あたし‥‥
コウジの事が好きなの。
付き合ってもらえないかな‥‥?」
‥‥え!?
今、何て言った!?
『好き』って!?
「え‥‥っ」
コウジの声がした。
コウジ、何て返事するの!?
まさかOKしたりとか‥‥しないよね!?
あたしは手に持ったジュースを両手でぎゅうっと握った。
‥‥数秒の沈黙。
「って、こんなこと突然言われたら驚くよね、ごめんね!
返事は別に今じゃなくてもいいから!」
そして、ガラガラッ、と扉のあく音がした。
足音も聞こえて、その女の子が倉庫から出ていったのが分かった。