あたしはとりあえず
さっきまで居た、青ゴール横の日陰に戻って
ぼんやりと試合を見ながら里奈を待った。

パニック通り越して
今度は頭の中が真っ白になってきた‥‥。



「玲、おまたせ!!」

後ろで小走りの足音がした。

「里奈!ごめんね急に呼んだりして!」

「いいよ、あたし近いからすぐ来れるし!」

里奈が来た。
里奈を呼んだのは、他でもない。

「ねぇ、里奈。『コウ』の背番号って‥‥」

「『11』だよ?」

里奈は
何でそんなこと聞くの、というような顔をして答えた。


だよね。
里奈言ってたもんね。
『11』の人に一目惚れしたんだって。

それで騙されて、遊ばれて、傷つけられて。
怒ったあたしが里奈と一緒に『11』を見に行ったんだ。



「里奈、『コウ』って、あそこに居る『11』の人?」

あたしはグラウンドの背番号『11』を指差した。
『11』は青ゴール前に居てここからでもはっきり顔が見える位置に居る。

里奈はあたしが指差した方を見て、

「そーだよ!あの人!
背番号『11』って言ってるじゃんー」

と言った。