園実がすばやくみみの入った金魚鉢を持って高露から離す。

「わかりません…ただ、私のオーラを跳ね返されて…」

みみも分からないようだ。

「羅我?莎羅ちゃんの魂来てたか?」

霊能力者でずっと黙っていた羅我が口を開いた。

「莎羅さんの魂は来てました。でも彼女が拒否したんです。自然に反することは嫌だと…」

高露はガクリと座り込んだ。

「何でだよっ!莎羅!!」

顔を両手で覆って今までの横柄な態度を取ってたとは思えないほどの細い声で泣き始めた。

「脳波は?」

佳伊が沙耶に聞く。

「さっきの音の前に大きく振れましたが、今はもう脳波も無いです」

「この脳波を調べないと」
ドクターが冷静に言う。高露の気持ちなんてお構いなしだ。

「心電図はどうですか?」

はするが守に聞く。

「いや…こっちは全然だな」

高露はそんなことを聞いてないように泣き続けている。
金魚鉢をそっと棚に置いた園実が高露を抱きしめる。小さな手で高露の癖毛をなでる。

その様子を佳伊は悲しい目で見つめている。