「一致した?」

佳伊が嬉しそうに言う。

「はい、先日美野里さん…クローンの方の美野里さんが残されたDNAと今朝来た青沼美野里さんのDNAが一致しました」

沙耶は義務的に言う。

「やっぱりそうか!」

また美野里に会えた気分だ。

「そして……今までの患者と違う所があります」

「え?」

「青沼美野里さんにPhoenix療法をした所、脳のここ…分かりますか?」


MRIの結果を3枚見せた。

「この左は先日亡くなった莎羅さんのものです。真ん中が美野里さん、右が青沼美野里さんのものです」

そこには明らかに見たことの無い脳だった。

「これ…ここが肥大してる…?」

右脳を指した。

「肥大といいますか…なんて言ったらいいのか分かりませんが、通常は右脳の部分を発達…もしくは進化させたら…いいのでは…という結論が出たんですが…」

沙耶は何とも言えない表情をする。

「どうやって進化させる?」

「アセチルコリンを操作して新薬に混ぜます」


「あぁ…じゃあアルツハイマーの治療と変わらないって事?」

アセチルコリンと聞いてピンときた。

「全部が全部同じ治療ではないですが」

沙耶は念を押した。