佳伊が孤独を感じているのは知っていた。

誰もが凄い人だと勝手に尊敬し、距離を置く。
距離を置かないのは管理人の高露くらいだと知っている。

でも、支えるって何?




「じゃあ私はそろそろ行くわ」

美野里の声にハッとする。

佳伊の部屋に沙耶、守、はするがいた。

佳伊は猫のような目をして美野里に言った。

「本当にもう?」

美野里は佳伊の頭をぽんぽんと叩いた。

部屋にいた全員が驚きを隠せなかった。

佳伊を呼び捨てする者がいたことにも驚いたが、佳伊にあんなことをする度胸のある者はいなかったからだ。

「次はどこに行くの?」

「本来の時間に戻るわ。呼ばれているしね」

「それは…2095年に行くってことですか?」

はするが聞くと美野里はそうよ。と言った。

「大丈夫、またすぐに会う事になるわ」

美野里が全員に微笑んだ。
その途端、忽然と美野里が消えた。



その場の佳伊以外の人間は人間がその場から消えるのを初めて見たので驚いた。

「おい!冗談だろ?」

守はまだ疑っていたようだ。目の前で消えられたら認めるしかない。

佳伊はふふ。と笑った。