MRIを終えた美野里に沙耶が言った。

「…これで検査は終了です」

「分かったわ」

美野里は沙耶をじっと見た。

「何ですか?」

不思議そうな視線に気づく。

「ううん、沙耶さんは佳伊が好きなのよね」


突然の美野里の言葉に沙耶は真っ赤になる。

「き…き…」

気のせいです。と言えず周りを見回す。

「大丈夫、誰もいないわ」

美野里は微笑んだ。

「佳伊を支えてあげてね。いつも誰とでも地位が上っていうのは孤独なのよ」

そう言って沙耶の手を握った。

「そのピアスにかけて」

美野里が知っていることに驚いた。誰にも言ったことのない佳伊との秘密だからだ。

美野里は気づいたように言った。

「大丈夫。佳伊から聞いたんじゃないから。彼は貴女のためにちゃんと黙ってるわ」

「じゃあ何で…」

言う前に美野里が口をはさんだ。

「私はもうすぐ行くけど、忘れないでね」

そう言ってにっこりと微笑んで部屋を出て行った。