美野里の血液を取りながらはするが聞いた。

「美野里さんはおいくつなんですか?」

「20歳よ」

にっこりと微笑んだ。
うっかりはするは赤くなる。超能力がどうというよりもこの綺麗さに惹かれてしまう。

「じゃあ、同じ年ですね」

「そうね」



そのやりとりを見ていた守がドクターにささやく。

「はするのやつ、惚れたんじゃないか?」

ドクターは眼鏡をふきつつ

「五月は死んじゃったし、クローンも死んじゃったし、いいんじゃないの」

と、どうでもよさそうに答えた。

守はこのドクターもとい柿崎のこの何でもどうでもいいような態度が気にくわなかった。

「28歳にもなって恋人のひとりもいないんじゃ、恋愛は分からないよな」

皮肉って言ってみるも

「そうだな」

と返されムッとする。

ドクターはさっさと自分の部屋に戻ってしまった。


それを見ていた沙耶は特に気にすることなく美野里のもとへ行った。

研究が上手くいけば、隼の中の全員が仲良くすることもないという考えがあったからだ。

沙耶のその考えが隼の中にも浸透していたといっていいだろう。