「柳…管理人の柳は知ってるね?彼の子孫のゼルダ博士が超能力を解明し、超能力の持ったクローン人間を作ったんだよ。隼の知識を存分に発揮してね。」

「つまり…隼は2075年までは存在してるって事ですか?」

どうでもいい質問をしてしまった。
佳伊はフッと笑った。

「そうみたいだね」

「私はね、今来ることが決まってたから来たのよ」

美野里は全てを包み込むような雰囲気だ。何だか理解は出来ないが聞き入ってしまう。

「…と言うと?」

「ASPHODEL-5のことよ」

沙耶の目が変わる。

「どういうことですか?」

「最初の患者は五月よね?彼女も私と同じクローンだった。でも私は感染せず、彼女は亡くなった」

「2075年の科学の知識の塊なんだよ。美野里は。俺も美野里に会ったのがガキだったからその話をされてたことをすっかり忘れてたんだ。でも今美野里が現れて思い出したんだよ。」

「私のデータを提供するわ」

「それは…治せるってことですか?将来的に」

沙耶はとにかくデータは欲しかったし、それがあれば解明出来るのか知りたかった。

美野里は黙ってしまった。
代わりに佳伊が答える。

「美野里は将来のことは何も言わないよ。絶対にね。それがどんな悲惨な結果になろうとも。タイムトラベラーの鉄則だ」

沙耶はそれにどう答えていいのか分からなかった……