…いや、待てよ。

「…ちょっと…どういうこと?」

私は不思議でたまらなかった。
だって人間は無駄に生きようと馬鹿みたいにもがく生き物なんじゃないのっ?
こいつ…頭狂ってる…!?

「どういうこと…って言われても、僕は死ぬんでしょ?そろそろ来るだろうと思ってた。」

ふわっと、彼、希は笑った。
…ぅわ………

(可愛い…っ)

女の私が男にこんな事思うなんて、おかしい。
けど、それくらい可愛い笑顔だった。

「…君、死ぬんだよ?悲しくないの?」
「うーん、ちっとも。という訳じゃないけど…僕が死んでも誰も悲しまないし……」
「…え、」

何で…?
こんなに綺麗な顔してるのに、この人の両親は…何も………?

「それなのに、笑ってられるんだ?」
「うん。」

…砂田(サダ)希。
不思議な人間がいたもんだ…。

「じゃあ…砂田希。無駄話はおしまいにして、連れてくよ。」
「…うん。どうぞ…。」





…プツッ