藤原に謝られるたび、胸の中がもやもやして、せつない気持ちになる。

俺は藤原からそんな言葉を聞きたかったわけじゃないから。


藤原もわざわざそんなことを言うために、俺に電話してきたんじゃないだろう?

俺は黙って藤原の次の言葉を待った。


『お父さん、さっき亡くなったの』

「……そっか。藤原、大丈夫か?」

大丈夫な訳ないだろ。

俺は何を言ってるんだ。


『うん。お母さんも私も、心のどこかで覚悟できてたみたい。想像してたよりもずっと落ち着いてる。

――なのに、あまりにもあっけなくて、』

藤原は声を押し殺して泣いていた。


俺は今、藤原に何て言葉をかけてやればいいんだろう。

あんなにも色々と悩んだり考えたりしたのに、俺はまた何も言えずに黙っていることしかできなかった。