夜中の二時を過ぎた頃、携帯電話が鳴った。

こんな時間に誰だ?


ディスプレイを見ると、藤原の名前が表示されていた。

俺は慌てて電話に出た。


「もしもし……藤原?」

『うん。ごめんね、こんな時間に』

藤原とまともに話すのは本当に久しぶりで、電話ごしなのに緊張した。

「いや、全然起きてたし。……どうした?」


電話の向こうは静まり返っていて、物音ひとつ聞こえない。

静か過ぎて耳が痛くなる。

「藤原?」

『あっ。えっと……メリークリスマス!お見舞いのお花、ありがとう』

「あ、うん。……メリークリスマス」

あの花、何で俺だってわかったんだろう。


『お礼、言うのが遅くなってごめんね』

「そんなの、別にいいって……」