「あはは……。そんなんじゃなくて。多分ね、森本はあたしに同情してくれてるんだ」

睡眠不足の赤く充血した目で、藤原が言った。


「そんなこと―…」

想定外の言葉を口にした藤原を、瀬尾は困ったような顔で見つめている。


俺は防火扉を思い切り蹴っ飛ばした。

その大きな音に気づいた藤原と瀬尾が、同時にこちらを向いた。


「ざけんな!同情なんかじゃねーよ!!」

そう怒鳴って睨みつけると、藤原は今にも泣き出しそうな顔をしていた。

俺は手にしていた購買の袋をコンクリの地面に叩きつけると、もと来た階段をかけ降りた。


「智史!待てって!!」

背後から瀬尾の呼ぶ声が聞こえていたけど無視した。

俺は今、何でこんなに腹を立ててるんだ?


何でか分からないけどムカムカして、体中が発光してるんじゃないかってくらい熱かった。