劇的に悪化することも、快方に向かうこともなく、

毎日少しずつ衰弱していくおじさんの姿を、藤原はあとどれだけの時間、見守り続けるのだろう。


一日?一年?十年?

それとももっと気の遠くなるような長い時間だろうか。



二人きりになると、藤原は突発的に、そして、縋るように俺の服の袖を掴むことがある。

そんなとき、俺は震える藤原の小さな手を、上からぎゅっと握り返してやることくらいしかできなかった。


医者も、医者志望の俺も、なんて無力なんだろう。

俺は、無力な自分が歯がゆくて、ただひたすら情けない気持ちになった。