ネームプレートには『藤原雄一』の名前。

個室のようだ。

俺はゆっくりと深呼吸をしてから、扉をノックした。

すると、中から「はーい」と跳ねるような藤原の声が聞こえ、目の前の扉が勢いよく開いた。


「……よう」

藤原は俺の顔を見ると、もともと大きな目をさらにまんまるく見開いた。

「びっ・くりした~。どうして森本がこんなところにいるの?」


「父親に用事があって来たんだけど、さっきたまたま藤原見かけたから」

「えっ、森本のお父さんも入院してるの?」


藤原の表情がふっと翳った。