「じゃあ飛ばすよ!」

「ハイハイ……」

俺は藤原の手の中で、今にも飛び立とうとしている紙飛行機をちらりと見た。

特別凝ったつくりなわけではなく、端と端をきっちり合わせて丁寧に折った、普通の紙飛行機だった。


少しくすんだ色の再生紙。

学校で配布された何かのプリントだろう。

ふと紙飛行機の翼の部分に印刷された黒い文字に目が留まり、俺は思わず藤原の手首を掴んだ。


「ちょっと待て」

その瞬間、藤原の手から紙飛行機が離れた。


「あ」

藤原が小さな声を漏らした。

俺は慌てて藤原から手を離した。