「はっはっはっ。
ナナちゃんって案外可愛いとこあるじゃん。」
「……へっ?」
「オレンジジュースとココア、どっちがいい?」
今のは空耳だったのだろうか。
空耳…であってほしいと思う一方、空耳じゃないと思いたい気持ちもある。
これが世間で言う《矛盾》なのだろうか。
「オっオレンジジュースで。」
オレンジジュース、
実はジュースの中で一番好きなんだよなぁ。
お子ちゃまって言われるから誰にも言ってないけど。
「はい。」
柊くんが私の前にオレンジジュースを置いた。
というか……
私はいつまでこの家にいるんだろうか。
帰るタイミングを確実に見失ったよ…。
まぁ帰りたいわけじゃないんだけどね。