先生と教官室2〜新しい道〜






もう一度寝ようと閉じた目を、ゆっくりと開ける。





「伊緒?」





「せんせ…」






さっきより明確に動きだした頭は、今いる場所をハッキリと認識した。





目を閉じても開いても変わらない暗さに、微かに聞こえる音楽。





私と少し距離を置いて隣に座っている先生。





身体には、椅子と私を固定するベルト。





ここは、間違いなく先生の車の中。






でも、確か私はあの喫茶店にいたはず。





先生が迎えにきてくれて、車まで運んでくれたのかな…?







「おはよう、伊緒。よく眠れた?」





そう言って私の顔を覗き込む先生は、少しニヤッと笑っていた。





「…先生のいじわる。」





きっと、ずっと寝ていた私の事をからかっているのだろう。