「かっちゃん、もっと素直になりなさいね。」
両手が塞がっている俺の代わりに、後ろから歩いてきた志帆さんが伊緒の涙を拭いてくれた。
「ずっと一緒にいたいんでしょ?だったら、大人ぶるのはやめなさい。」
「志帆さん…。」
何も言っていないのに、志帆さんは全てを理解してくれている。
もちろん、勇二さんも。
二人は優しく笑いながら大切な事を沢山教えてくれる。
教師をやっている俺だけど、二人に教わる事はまだまだありそうだ。
「また近いうちにいらっしゃい。そうね、今度は二人揃ってよ。」
「はい。約束します…。」
笑いかけてくれる志帆さんに軽く会釈し、勇二さんが開けてくれている扉から外へと出る。
「じゃあ失礼します。」
「あぁ、また。」

