置いていかれた二つのコップに手をかけ、ゆっくり洗った。 そういえばコップ買いに行かなきゃな。 伊緒が割ってしまってから、まだそのままだった。 「………ん?」 たしか、あそこの店…。 うん、そうだ。 俺の記憶が間違っていなければ、これは伊緒にとって大きなチャンスになるはず。 近いうちに一緒に行ってみよう。 綺麗になったコップをしまい、自分の席にすわる。 そして、ふと目に入ったクッキーの袋を開けた。 「…うま。」 中に入れられていたクッキーは、ほどよい甘さを俺の口に広げていった。