そうよ。

もし、津田さんが竜司と同じ道をたどるなら、執事に打ち勝ってもらわなきゃならないの。


人質ってなんの話かしら?


よく分からないけど、私の将来は柏原次第だろう。


もし柏原がわざと負けても、私は柏原を手放すつもりなんてない。



でも……
でも……



「撃ち抜かれました……」



津田さんの顔が強張る。



私の心は完全に柏原に撃ち抜かれてしまったわ。



柏原がタイで縛り上げて「お仕置きです。お嬢様」と言うような事も、津田さんなら許してくれそうだわ……でも、考えられないのよ!



「救急車一台大至急! 銃弾に倒れた負傷者一名!」

津田さんの指示により、謎の武装集団がザワザワと蠢き出す。


「怪我の容態は?」

津田さんが乱暴に私を抱き締める。


「待って……心臓が……」


心の準備をさせてよ!


「胸をやられたらしい! 救護班はやくっ!」


津田さんの怒号と共に、銀の盾が押し寄せてきた。


「人質の救出最優先で犯人を確保しろーっ!」


酷い怒号が飛び交い、我が家に謎の武装集団が押し入るのを、津田さんの腕に包まれて眺めていた。


ちょっと!
勝手に入るんじゃないわよ!と怒鳴ってやりたいが、私は恐かった。


「さぁ、安全な場所へ行きましょう」


だけど、津田さんは私を連れ去るのだ。

困っちゃう!