「あっ! いたわっ!」


 私は、運命の赤い糸を手繰り寄せるように例のイケメン……ナツを見つけ出す。


 やっぱりカッコいいわね。
 会場では断トツのカッコ良さだわ。


 んんっ!?



「柏原! 柏原柏原柏原柏原!」


 私の三歩後ろで折りたたみ式の椅子を用意してくれている柏原を小声で呼びつける。


「お嬢様、一度で聞こえておりますよ」


「柏原! あのナツと今、話をしている男の子は?」


 柏原はチラリ鋭い視線でナツを見てから小さな声で「ナツ様のご友人の"隼斗"様でございます。本当に私の用意した資料、全くもって読まれていませんね」と言った。