ダンダンダンダン────

 会場内はボールを叩きつけながら走る選手によって、床が揺れていた。
 
 なんていうスポーツなのかしら? でも、それより気になるのは……


「柏原! この建築物の耐震強度は大丈夫なの?」


 すると柏原は突然私に頭を下げる。

 いつもより深いお辞儀は、謝罪の姿勢。


「申し訳ございません。お嬢様……私には建築士の資格も建物の構造に関する知識もございません。その質問に、明確な答えを差し上げる事ができません」


 柏原でも、わからない事があるのね?

 サイボーグなのに?

 耐震強度って相当頭が良いサイボーグじゃないとわからない問題なのね。



「ですが……万が一の場合は、この身を犠牲にしても茉莉果様をお守りいたします」


「ありがとう。よろしくね」



 柏原がそう言うなら安心だわ。だって、彼が今まで嘘をついた事はないもの。いくら性格が悪くても、嘘をつかないから大目に見てあげられる。


 もしそれで柏原が殉職したらそれに敵った香典をあげないといけないわね。