『茉莉果ちゃん、もう忘れたの? さっき会ったよ。コアラと一緒に記念撮影したー』
「ああ! コアラの竜司!」
凄い!
元コアラから電話がきたの?
私の携帯に?
『そうだよ! どうしても連絡とりたくて麗香に、携帯番号教えてもらったんだ』
「ふーん……竜司は、麗香も知ってるの?」
『僕たち、同じ高等部に進学したからね。茉莉果ちゃんは高校から桜ヶ丘が編入しちゃたけど……って本当に僕の事覚えてる?』
「覚えてるわよー、竜司可愛かったから……抱き締めたいくらい。また会えて嬉しいわよ」
そうだ……
竜司がコアラだった頃の写真をあとで探してみよう。
『えぇ? 僕って、可愛い系だったの? そーなんだ……一人の男として見ていて欲しいな』
竜司はちょっと残念そうな声を出す。
もうちょっと、やる気出してくれれば良かったのよ。
眠そうな顔して動かないから、癒し系にしか感じなかったわよ?
『ところで、今週の日曜日時間ある?』
「ちょっと待ってて……柏原! 今週の日曜日の予定、何かあるかしらぁ?」
コアラを待たせるなんて失礼よね。
私は通話口を片手で抑え、早口で柏原に訊ねた。
私のスケジュール管理は全て柏原がしてくれている。