友美子は電話を切ってからじっと受話器を見つめていた。
 
 よもやそんな電話が掛かってくるなど夢にも思わなかったからだ。
 
 友美子は離婚をしたばかりで実家に戻って来ている所だったので偶然にもパズルのピースが埋まるように、麻由美からの電話を受ける事が出来たのだった。
  
 友美子には子供が出来なかった。子煩悩だった離婚した夫に愛人ができ、しかも子供まで出来てしまった。夫から認知の話をされたとき、すでに夫の頭の中では「離婚」の二文字しか無かったようで、友美子にもそれがよく理解出来ていた。しかしすぐに頭を縦にふることは出来ず、半年間夫や相手にもかなりのプレッシャーや嫌がらせを与えダメージを加えてきた。
 そんな生活自体が友美子自身にもダメージがかなり受け、結局無理無理協議離婚という形で終わりを迎えたのだった。
 
 友美子は鏡の前に立った。あまりにげっそりとしたやつれた顔。
 麻由美に会うのは10日後の月曜日。麻由美の店が休みだそうだ。  
 
 「ちょっとエステにでも行こうかしら、そうしたら気も晴れるかもしれない、慰謝料ももらったし。」
  
 そう友美子は思い立って、少しでもやつれた姿を同級生に見られないようにと考えるのであった。
 
 友美子の心の傷はこれで癒えた訳では当然なかったのだった。