次の日、思いきって夫の良樹に話してみようと思った。しかし、そんな時こそタイミングが悪く、店が繁盛している。話す機会を失ってしまっていた。
 
 昼を過ぎ、少し店の様子も落ち着いた頃、麻由美はふと昨日の出来事から自分の過去を思い出したのだった。

 友美子、元気かな....

 友美子とは、麻由美が小学生の時の同級生で、色が黒く、大人しい子だった。
 実は麻由美は友美子をいじめていた。
 
 麻由美は今回の美紗の一件で自分がしてきたことを回想し、強烈に恥じた。そして思いきって友美子に今更だが謝りたいと思った。

 押し入れの中へ顔を突っ込み、奥の方にしまってある小学校の卒業アルバムを探し出し取り出した。まだ名簿には住所が書かれてある時代だった。
  
「実家しか解らないけど、一回掛けてみよう。」
 
 麻由美はそう思い、友美子の住所欄にある電話番号を書き出し、震える手で受話器を取った。