美紗の学校に着いた麻由美は、早速同級生の早紀の母親とばったり会ってしまった。
 早紀の母親、森久美は現在PTAの副会長の座にいた。学校からの信頼も厚い。
 麻由美はあたふたしてしまい、逆に久美の方から挨拶をされてしまった。

 「美紗ちゃんのお母さん、こんにちは。今日はお店は大丈夫なの?」
 「あ、あぁ、こんにちは、うん、うちもパートさんを入れたものだから...」
 麻由美は相変わらずの慌て様だった。
 ...何で私が慌てなきゃいけないのよ!言えばいいのよ、言えば!
 
 「あの、森さん...」
 そう言いかけた所だった。後手に

 「森さーん、ちょっといいかしら?」

 他のPTA役員らしき女性が早紀の母親を呼んでしまった。
  
 「はーい、今行きます。、今日スイミングだったわよね、またその時にね。」

 久美はそう言い残して先ほど呼んでいた女性の方へ行ってしまった。