オーダーを終え、麻由美は早速電話の続きをし始めた。
　
　「本当に何て言っていいか、申し訳ない事をしました。消せないこととはわかっているんだけど....」

　「もういいんだってば！こうして再会したんだし。私すごく嬉しかったんだから。だって勇気がいることよね？ありがとう。」

　友美子はそういって自分の近況を話し始めた。
　
　「今は離婚しちゃって実家にいるの。麻由美さんのお店から近いの、びっくりしたわ。でね、離婚と同時に仕事もやめちゃったから今実家ではニートって呼ばれてるわ。」
　「まだ３２歳でしょ、私たち。再婚だって考えてないわけじゃないの。」
　「麻由美さん、子供は？私は結局出来ない体だったようで....」
　「離婚で揉めている時に父が亡くなってしまって、心配かけたのよね。」
　

　きっと鬱積しているのだろう、麻由美の入る余地無く話も途切れず軽妙な口調だった。
　今日は聞き役なんだわ、と自分に言い聞かせて麻由美はただただ頷くばかりで、彼女からたまにくる質問に軽く答える程度だった。