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少女は、今まで男が着ていた服を洗濯機にほうり込むと、先程男がいてできなかった寝室の掃除をはじめた。
寝室は、なぜかそれほど荒れていなかった。
掃除をしていると、なぜかそれだけはきちんと置かれたファイルが目についた。なんとなく中を開くと、一枚の写真が出てきた。

白衣の男性と、美しい女性。
どうやら、白衣の方は自分の主人である男のようだった。
その傍らで微笑む美しい女性は誰だろう。
ファイルの方には何やら難しい言葉が沢山書いてあって読めなかった。

これは、大事なものだ。

少女はそう思い、それを元に戻すと掃除を再開した。
紀一さんも、あんな風に笑うのか。

少女はなんとなく、胸があつくなるのを感じた。何故かはわからないけど、涙が出そうになった。

寝室のそうじを終わらせ、部屋を出ると、風呂から上がった男が、またソファでぼーっとしていた。

(きっと、今のこの人の毎日はこんな風に終わっていくんだなぁ。)

写真の笑顔を思い出して、また胸が苦しくなった。
なぜかは、やっぱりわからなかった。