そういえばと思い、少女に尋ねた。

「ゴミはどこへやった?」

「玄関に詰め込みました。」
なにも言わずに玄関に行き、なにも言わずにドアをあけて、

「…」

なにも言わずに閉めた。
部屋に備えてある電話を、数カ月ぶりに使った。

『はい。』

使用人の女が出た。

「ゴミが出た。
明日持っていってくれ。」

一方的に電話を切る。
外への連絡はこれでとれる。(とは言っても本家に伝わるだけだが。)が、ほとんど電話は使わない。

「…君が来てからおかしなことばかりだ。」

ため息まじりに呟いた。
少女はしばらくポカンとこちらを見つめたあとに、

「褒めてるんですか?」

「……。」

男が呆れたような、困った表情で少女を見ると、

「怒ってるんですね…。」

少女がシュンとしたので、なにか悪い気がして弁解の言葉を考えたが、面倒になってやめた。

「あの…」

目だけで少女を見ると、少女は遠慮がちに言った。

「お風呂も…沸かしたのですが。」

男は、再びため息をついた。