掃除をはじめよう。
そう思ったはいいものの、どうやらこの部屋には掃除用具が見当たらない。
まさか本当にないのだろうか?
そう思いはじめたとき、玄関の隅に扉がありそこを開くと掃除機と箒と雑巾とバケツが恐らく未使用の状態で置いてあった。
とりあえずこれで掃除はできるようになったが、何から始めるか、悩むところだ。

「…家具をどかさなくちゃ。」

部屋に転がっているソファーやクッションや壊れて何かわからなくなっている物たちを見て呟いた。
それはまるで家捜しをしたかのごとく散らかっている部屋だったが、少女にとってそんなのは気にするところではなかった。
何がおかしいかを判断できる知識が、少女にはなかった。

そして少女は、派手な音をたてながら掃除を始めた。