「へぇ、誰なのよ」

作りかけの城に手を伸ばした私に彼は、なんの躊躇いもなくこう言った。

「え?

葉山 美乙チャン。」
(はやま みお)


美乙チャンって。
彼の近所に住む、顔の可愛いらしい女の子。
あの子は近所の男の子からの人気ダントツだもんね??

すると、私の心の声に応えるように

「美乙チャンって優しいんだよ!?
俺ね、美乙チャンの優しいトコロが一番好き!」

何かを思い出したのか嬉しそうに話だす。
こんな顔…
知らないよ??

「だから、
協力してくれる?

まだ。
七星(ななせ)にしか言ってないんだ…」

不安げに私の顔を覗き込む彼に、私は笑顔で突き放した。

「もちろんだよ!

海路(かいじ)の恋を手伝うよ?」

「ホントに??

七星は優しいね」


ねぇ、
優しいの?
じゃぁ、美乙チャンは?
美乙チャンも優しくて―私も優しいの?

何か変だよ―…
変なの。