彼の後ろ姿を
階段の上から見ていた。


彼の彼女の可愛いらしい声も聞こえてくる。

「大西君!?

どうしたの、その傷…」

心配そうな瞳で彼を写し出しているのだろう。
彼が照れている。

「舐めときゃ治るよ」

「え~

大丈夫じゃないよ?
ほら、付いてってあげるから…ね?」

彼女の笑顔が
彼を包み込んでいく

もう、
その場に居たくなくて私は何も言わずに立ち去ろうとした。
微かにまだ聞こえる。

彼と彼女の声―…




「あれ?

七星、七星??」


「日色サンも一緒だったの?」

「あ―うん。

先に保健室に行ったのかもな…」




違うよ―…海路。
私は、
ここだよ。


でも、でもね。


葉山サンと居る時の海路は海路じゃない。


いつもの海路じゃないのを見るのは



辛いんだ。