体力テストが一時間目だったからその後の授業は、みんな大変そうだった。

「じゃあこれをわかる人挙手。」

ちらほらと手を挙げる生徒がいる。
私もなんとなく挙げてみた。

「じゃあ、奏崎と筑紫。前に出て黒板の問題を解いてみろ。」

なんとなく挙げたら指されてしまったみたいだ。
筑紫さんも同じだ。

よし、えーと…
黒板の問題を必死に解いていると…

小さな声で、

「そこ、符号間違ってるよ。+じゃなくて−だよ。」
はっとしてみたら書き間違ってしまってたみたいだ。素早く書き直した。

「あ…ありがとう…。教えてくれて…。」

わざわざ教えてくれてありがたかった。普通他人のなんか見ないのに、間違えて皆に笑われる運命を救ってくれた。

私は、お礼を言って席に付いた。
その後の授業は指されなかった。