「つっ〜……」

「だ、大丈夫か」

鼻を抑える彼女は痛そうな顔をしている
てか普通に痛いんだろうけど


「うん、大丈夫。気にせんといて。それよりホンマに友達になってくれるん?」

「エエよって言うたやん」

「ふふっ……。ありがと」


彼女がそう言うと、また突風が吹いてきた

今まで以上に風が強く俺は目を閉じ、顔を腕で防いだ


そして目を開けると、彼女はどこにもいなかった
どこにも

ただあったのは誰かの名札

“京源”と彫られた名札だけだった