あたしの合図に気付いたのか、唇は離れ、また抱きすくめられる。
深呼吸するかのように、耳元で彼が大きく息を吐いた。
「‥おまえが言ったんだぞ‥」
「へっ?」
まだ、ドキドキが止まらないあたしの耳元に低い声が届く。
「‥おまえが言ったんだ、告白はこうされたいって‥」
ん?
あたしが?
顔をあげると、またバツの悪そうな顔で君が見下ろしている。
その顔が幼い頃のものと重なった。
《おまえみたいな男女がそんなことゆってんじゃねーよ》
当時の彼の悪口の原因は、クラスの女の子たちと盛り上がっていた理想の告白のシチュエーションだ。